千枚漬、しば漬と並ぶ、「京都三大漬物」の一つ「すぐき漬」。江戸時代の初めから、上賀茂の特産として、京中の公家など上流階級の方へ贈られていました。
上賀茂神社のすぐそばにある老舗の漬け物店「京都なり田」は、江戸時代より現在までに伝わった、伝承の製法ですぐき漬を作り続けています。
上賀茂名産「すぐき」について知っておきたいこと、なり田だからこそお伝えできることをご紹介したいと思います。
すぐきとは
すぐきとは、京都市北区上賀茂に伝承する在来のかぶの一種です。
漬物となったときに特有の風味のある酸味(乳酸発酵)から「すぐき」と名付けられました。京都ですぐきといえば野菜自体のことではなく、「すぐき漬」のことを指します。
すぐきの栽培と収穫時期について
すぐきの栽培は、8月末~9月初旬に種まきをして、収穫は11月~12月にかけて行われます。
種まきから収穫の間に、すぐきの良し悪しを見分ける「間引き」作業を3回ほど行います。
そこで間引きしたすぐきの若菜を浅漬にした、「すぐき菜浅漬」はこの時期だけの希少な逸品で、順調に育っていれば10月中旬ごろに漬け上がる予定です。
また、すぐきの生育状況によっては、まったく収穫できない年もあるので、販売は直営店のみで行っています。
10月下旬から寒さとともに、京都の紅葉が随所で見られます。秋の彩を五感で楽しみながら、ぜひ京都、並びに上賀茂本店へお越しください。
すぐきの旬って?
すぐきの旬っていつ頃だと思いますか?すぐきを知る人の多くは、冬の12月から2月にかけてと思っています。
世間では御歳暮の時分が、すぐきの旬と認識されているかもしれません。
もちろん、それは間違いではありません。
収穫を終えたすぐきは、12月初旬に「新漬すぐき」として漬け上がります。漬け込み期間、いわゆる醗酵期間が短いので、爽やかな酸味とすぐき本来の味やほのかな甘みを感じていただけます。
もう一つの旬として、夏に漬け上がる「時候慣れすぐき」があります。
塩漬けしたすぐきは、乳酸発酵により気温の上昇とともに、酸味が増します。
冬の爽やかな酸味とは違った、深い酸味を味わえます。
日々刻々と味が変わっていくのも、楽しみ方の一つです。
その月その時々で、味が変わっていくので、皆さまのお好きな酸味や頃合いを見つけていただければと思います。
すぐきと「ラブレ菌」の関係
すぐきの魅力の一つに「ラブレ菌」があげられます。ラブレ菌は、植物性乳酸菌の代表格で、免疫の活性化や免疫機能を高める作用があります。
京都の漬物の中でも、特に酸っぱいすぐき漬から全く新しい乳酸菌の一種が発見され、ラブレ菌と名付けられました。そもそも植物性乳酸菌は、生命力が強く、過酷な環境でも生きて腸まで届きやすく、腸内環境を整える働きがあります。そんなすぐきは、乳酸菌(=ラブレ菌)の力を借り、自然発酵した特別な漬物といえます。
必見!すぐきが苦手な方へおすすめの食べ方
すぐきが身体に良いとはわかっていても独特な発酵の香りや酸味が苦手な方もいらっしゃるかと思います。
なり田では、日々の食卓で気軽にすぐきを楽しんでもらえるよう、ひと手間かけた品々があります。
すぐきは好きだけど、丸すぐきを切るのが面倒くさい方
「切りすぐき」・・・丸すぐきを葉とカブにきっちりと分け、かつすぐ召し上がれるように葉は細かく刻み、カブは食べやすい大きさにカットしています。真空なので、お日持ちも31日と長めです。
数量限定生産のため、直営店のみでの販売しています。
すぐきの独特な酸味が苦手という方
「きざみすぐき」・「ちりめんすぐき」・・・すぐきのほどよい酸味をそのままに、茎と葉を細かく刻み、白醤油で味付けしています。
白醤油で味がまろやかに感じていただけます。
すぐき自体がはじめての方
「すぐき・大根合せ漬」・・・すぐきと塩漬け大根を合わせました。大根の甘みがすぐきの酸味を抑えて、食べやすいお味に仕上げました。
試してほしい組み合わせ
「きざみすぐき」or「すぐき・大根合せ漬」+「納豆」
・・・発酵食品同士なので、健康面で文句なし◎
味も適度な酸味と納豆の粘り気が食欲を掻き立て、ごはんが進みます。
「きざみすぐき」+「冷奴」
・・・冷奴の薬味として、ぜひ試してもらいたい一品。
併せて大葉やオクラ、茗荷を刻んだものをのせると香りも良く、さっぱりといただけ。食欲のないときでも、スッと喉を通ります。
「すぐきドレッシング」
・・・毎日すぐきを食べるのは、難しいと感じる方もいらっしゃいます。このドレッシングは、細かく刻んだすぐきをごま油と合わせて作っています。
味のアクセントとして、パスタや蒸し野菜などにどうぞ。
さいごに
自然の力で発酵したラブレ菌を持つ「すぐき」は、毎日の健康にも役立ちます。それは腸内環境を整えたり、免疫力を高める働きがあるからです。
すぐきは、塩のみで醗酵させている分、ラブレ菌が豊富で健康にはとてもプラスに働きますが、その反面食べ過ぎると塩分の過剰摂取にもつながります。
これは食生活にも言えることですが、何事も適度に食すことが自然と健康へつながっています。すぐきは、毎日少しずつ取り入れる必要があるため、日を空けてしまうと、ラブレ菌の効果が薄くなります。
私たちは、みなさまに日々の食卓の中で、すぐきを気軽に楽しんでもらえるよう、少しでもそのお手伝いができればと思っています。
そんな思いを胸に京都なり田では、歴代受け継がれてきた昔ながらの製法を守りつつ、様々なオリジナル商品をご用意し・お召し上がり方やレシピも紹介しております。